その50
 1年に1度だけ会う、恋人へ。


 

 朝、急ぎ足で駅に向かいます。
 途中、少し寄り道をします。

 君に会うために、お屋敷の前まで行くのです。
 お屋敷の壁面のところで、君は待っています。

 君と、目と目で会話します。

   (去年より、ずっと燃えているね)

 今年の君は、あざやかです。
 そしてきっと、来年はもっと、色あざやかでしょう。

   (また、来年)

 君に挨拶して、駅へと向かいます。

     *

 年々、思いは深くなっていきます。 


 (紫 麻乃)

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